親油性粘土 「ニッカゲルL」
「ニッカゲルL」は、工業的に利用し得る親油・疎水性粘土で、有機液体中でゲル化した上で、増粘作用・濃稠化作用を果たします。
これらの作用は、時間的にも、温度変化に対しても安定しています。各種有機物との混合添加により、新製品の製造や従来品の品質改良が期待し得ます。
この商品(日本活性白土株式会社製)は、長年にわたる活性白土の生産と その基礎研究成果の一端として、適切な粘土鉱物(主としてモンモリロナイト)と有機塩基の結合により開発に成功した有機粘土です。
粘土鉱物と有機化合物との結合は、既に1930年頃より、 J.E.Gieseking, D.M .C.MacEwan,W.F.Bradley, S.B.Hendricks,などにより認められ、有機化合物が粘土鉱物の層格子間に化学親和力により保持され、層間距離を増大させることが確かめられております。
ニッカゲルLの用途
ニッカゲル L の代表的な応用例を列挙いたしますが、この他にも画期的な用途が開けるものと期待しております。
- 金属加工油の研磨剤分散
粘性・チキソ性を与え、効率よく研磨剤を分散させることができます。 - グリース
各種潤滑油等との混合により、耐熱性のある潤滑グリースが製造可能です。 - ワックス
ニッカゲルLの混合により、強度・硬度を増加し、軟化温度を上昇させることができます。 - アスファルト、タール類
建築用あるいは塗装用に用いる場合、強度・硬度・軟化点を上昇させ、用途を広めることが出来ます。 - 塗料
使用顔料の沈降分離を防止し、粘性・流動性を、添加量により任意に調節することが出来ます。 - 印刷インク
物理性状の改善、調節が可能となります。
ニッカゲルLの一般性状
- 白色微粉末
- 見掛比重 0.6
- 中性
- 水分 2%以下
ニッカゲルLの応用
ニッカゲルLは、従来の研究結果から、粘土鉱物及び有機塩基の組み合わせにより、特性の異なるものが製造可能です。
使用目的により最適の品種をご利用いただきたく存じますが、参考までに、代表的な品種である ニッカゲルL-540 の応用例および、その特性を以下に記します。
a) 塗料への応用例
調合下塗白に ニッカゲル L-540 を添加した時の効果は以下の通りです。
1) 粘度はストーマー型粘度計による KU(25℃)で表す。
添加剤 / 添加量 0.10% 0.20% 0.30% 0.40%
ニッカゲルL-540 95 105 114 125
レシチン 90 91 93 94
アルミニウムステアレート 98 108 108 102
2) 顔料沈降防止作用
塗料試料 100gにターペン 10gを加え、顔料の沈降状況を調べる。
添加剤の添加量は 0.2%である。数値は顔料部分の容積である。
添加剤 / 経過日数 10日 20日 50日 120日 評価
ニッカゲルL-540 98.5 87.0 70.0 63.0 A
レシチン 95.0 83.0 69.0 64.0 B
アルミニウムステアレート 94.5 89.0 77.5 65.0 C
評価は沈澱顔料の固さを示す。
ガラス棒を重力のみで静かに入れた場合、
A : 沈澱がやわらかく、ガラス棒が底まで入る
B : 沈殿の約2/3まで、ガラス棒が入る。
C : 沈澱の約1/3まで、ガラス棒が入る。
D : 沈澱中にガラス棒が入らない。
b) 有機溶剤に対する特性
各溶剤 25cc中に ニッカゲルL-540 を 0.5g 加え、24時間後のニッカゲルL-540 のゲル体積を % で示す。
有機溶剤 24時間後のゲル体積
ベンゼン 50.0 %
n-ヘキサン 30.0 %
灯油 42.0 %
石油エーテル 34.0 %
流動パラフィン※ 52.0 %
灯油+エタノール 88.0 %
※ 80℃ 過湿、他は常温
これらの液体に対してチキソトロピックな性質を示す。
※エステル系、グリコール系溶剤の増粘には適しておりません。
あとがき
以上、ニッカゲルL の性状・特性の代表的名な概要を説明申し上げましたが、使用目的に応じ更に研究を重ねております。